しわの相談で一番多いのが「ほうれい線」と「おでこ」なのだそうですね。

ほうれい線とおでこのしわだと、種類が違うんですよ。しわの種類は大きく分けると2つ。ほうれい線のように普通の状態でも出ている「顔に刻まれてしまったしわ」と、おでこや目尻、眉間、あごなどに表情を作った時に現れる「表情じわ」。もちろん対処法も違います。
 

それぞれどんな治療法があるんですか？

まずほうれい線のような刻まれたしわ、これには主にヒアルロン酸注射で対応します。注射針による痛みを和らげるためにまず顔に麻酔クリームを塗り、しわの線に沿ってヒアルロン酸を凸凹にならないように細かく注射していきます。注射とはいっても打ち方によって効果が全く違ってきますから、経験に裏付けされた技術が必要です。しばらくは注射跡の赤みが残りますが翌日から化粧OKなので隠せます。打った直後から効果があらわれ、1～2週間後になじんでより自然になります。その後半年から1年かけて徐々に体に吸収されるので定期的に打つ必要がありますが、その分安全性が担保されていると言えます。万が一の時にはヒアルロン酸を溶かす薬もありますし、以前使われていたコラーゲン注射よりもアレルギー発生率が低いのも安心です。ヒアルロン酸の製品には硬さもいろいろあるんですよ。硬いほど持ち上げ効果も高く、吸収されにくいのでその分効果も持続すると言えます。逆に軟らかいと持ち上げ効果や持続性は硬いものより劣りますが、皮膚の薄い、浅い部分にも打てる。それぞれに特徴があるので、しわの深さや打つ場所によって使い分けます。その辺りは事前のカウンセリングでしっかり見極めていきます。
 

もうひとつのおでこのしわ。これはどうやって…？

おでこのしわのような「表情じわ」はおでこや目尻、眉間、あごなど、表情の変化に合わせて筋肉を動かすことなどによってできます。そんな表情じわには「Ａ型ボツリヌストキシン治療」を主に行います。
 

どんなものなんですか？

使うのはボツリヌス菌が作ったタンパク質の一種で、神経をまひさせる薬。それを逆手にとって筋肉の動きを止め、しわを作らないようにする方法です。生理食塩水に溶かしたものを筋肉に注射。打って3～4日で効果が現れ、効果が最大になるのが1週間～2週間後。その後3～4ヶ月は効果が持続します。継続して使用し筋肉を使わない状態を作ることで、治療効果を長くすることもできます。
 

まひ…ちょっと怖い感じもしますが…。

使う量は必要最小限なので、全身に対する影響はありません。また使う薬は、この治療の中で国内で唯一厚生労働省に承認されている治療薬。認定を受けた医師のみ使用できるものなので安心して下さい。
また治療後はすぐにもとの生活に戻っていただけます。
 

その他に方法はありますか？

おでこのしわはまぶたに原因があることも多いので、場合によってはまぶたのたるみの手術を行うこともあります。
その他、顔に細かく出る「ちりめんじわ」は、保湿をしっかり行うなど主にスキンケアで対処。そして最近では、顔の中に糸を入れて皮膚を引っ張るという方法もあります。しかしこれは溶けない糸が顔の中に蓄積していくという問題、なおかつ他の治療ができなくなるということもあり当院では行っていません。
 

安全性は大事ですよね。

やはり昔から行われている、スタンダードな方法が一番です。事前のカウンセリングで治療方針をしっかり決めていきますので、何でもご相談下さい。