衣食住
つくばの「衣」「食」「住」をまるごとご紹介するコーナーです
多くの人に喜ばれる、さまざまな中華料理を
炎の旨辛唐揚げ弁当。手作り弁当は、ユーリンチー、エビと玉子チリソースなど10種類あり、すべて¥550。他のメニューもほとんど持ち帰りOK。
筑波大学会館裏手、天久保3丁目に2022年1月、中華料理店がオープンした。店名は「福軒餃子」。餃子専門店のような名前だが、中華料理全般、さまざまなメニューを取り揃える。しかも、日本人の好みに合わせたメニューから、中国出身でも満足する本場の料理まで、味付けや食材の幅も広い。というのも同店の料理人は、現在全員が横浜中華街で修行を行った中国人シェフ。日本で長く中華料理を伝えてきた料理店のノウハウと、母国の味との両方を表現できる。
看板メニューはもちろん餃子。こちらは日本人に合わせたメニューで、中華街でも好評を博していた羽根つきの焼き餃子。点心専門の料理人が、毎日一つひとつ手作りしている。大きすぎず、ちょうど一口で食べられるくらいのサイズで、皮は薄め。パリパリの香ばしい羽根の食感が楽しく、皮の内側にはたっぷりの肉汁が溢れ、旨味も堪能できる一品だ。定番の野菜焼き餃子の他に、チーズ、ニンニク、エビ、パクチーの計5種類を展開する。
本場、中国四川の料理で、かつ日本人にも人気のメニューは炎の旨辛唐揚げ。赤いタレでいかにも辛そうな見た目だが、食べると唐辛子の辛味は思ったほどではなく、山椒の痺れる辛さとハチミツなどの甘さ、鶏の旨味が絶妙にマッチして病みつきの味わい。辛い四川料理は敬遠したいという人にも、ぜひ一度、と勧めたくなる。
一方で中国人に人気の一押しメニューは、鴨血とモツの激辛スープ煮込み(毛血旺)。鴨の血、牛の胃袋、もやしなどの野菜を、唐辛子や山椒など、たっぷりのスパイスで煮込んだ伝統の激辛四川料理で、ご飯が進む濃厚な風味が特徴。懐かしいこの味を求めて通う中国人学生も多いという。他に、牛肉の激辛煮込み、スペアリブの薬膳土鍋煮込みなども本場の味をそのまま再現。また、ドリンクメニューも中国ならではのラインナップで、紹興酒などの中国酒があるのはもちろん、ソフトドリンクにも中国では誰もが知っている漢方ドリンクの王老吉(ワンラオジー)や、甘酸っぱさが人気の酸梅湯(サンメイタン)などを用意。中華料理の定番スパイスや食材は、美容と健康を促進する働きが多いそうで、異国情緒に浸りながら体を整えられるという嬉しさもある。
ほとんどのメニューがテイクアウト可能で、お弁当は全品550円というコスパの良さが光る。オーナーの祝福さんは「すべてのお客さんに満足していただきたいので、学生さんでもお腹いっぱいになるよう、量は少し多めにして、価格も抑えています。同じメニューでも横浜では同価格では出せないので、お得だと思いますよ」と、気さくな笑顔で語る。オープンから2年、すでに人気店としてこの街の景色に馴染みつつあるようだ。