衣食住

つくばの「衣」「食」「住」をまるごとご紹介するコーナーです

お腹も気分も満たされるもう一つの我が家


県道200号線沿い、栗原小学校の向かいに店舗がある。通勤ラッシュ時には車の往来が多いが、それ以外は静かで、この一軒家もまさに隠れ家といった風情。玄関前には木製ブランコが置かれ、バックに広がる田園風景も美しい。
店内は、モノトーンの色調でおしゃれな雰囲気。テーブルの間に壁があり、どの席も半個室のようなつくりなので、周囲の視線を気にせずゆっくり食事やお茶が楽しめる。
「何時間でも長居していただいて構いません。食事やお茶だけでなく、リモートワークや仕事の打ち合わせなど、自由にご利用いただきたいと思っています」と店長の鮏川さん。1人でも居心地が良く、友人や家族連れでも利用しやすい、暮らしの一部になるような身近な店でありたいと話す。
都内のレストランなどに勤務したのち、オーストラリアに渡りカフェでシェフとしての技術を磨いた鮏川さん。異国の食文化に触れ、山できのこを採ったり羊を解体したり、料理を作るだけにとどまらないさまざまな経験を得たそうだ。宗教や思想が食事にも大きく関わっていることも学んだ。これを活かし、カフェのメニューにはビーガンやベジタリアン向けの料理も取り入れ、グルテンの有無なども記載。食の多様性に応えられるよう意識している。


朝ごはん&ランチのメニューは、エッグベネディクトやフレンチトーストなど、オーストラリアのカフェの定番料理。夜はランチメニューに加え、生ハムやリゾット、スペアリブなどの一品料理が注文できる。どのメニューも、食材のみならず下味の調味料やスパイスから気を配り、手間をかけ、盛り付けや彩りまで丁寧に考えられているのが特徴だ。たとえばアボカドチーズバーガーなら、まずは具材を挟むバンズから自家製。パテにナツメグを使用することから全体でのスパイスの調和を考え、チーズソースはターメリックやパプリカパウダーを使って風味を出し、添える野菜もクミンなどのスパイスで漬けたアチャール(インドのピクルスのような漬物)にしている。スパイスのおかげか、アボカドの食べやすさのせいか、ハンバーガーも重たくなく、食後の満足感も心なしか爽やかな一品だ。
食事も飲み物も「なるべく他の店では味わえないものを出したい」と、ワインはオーストラリア産などのニューワールドのナチュールワインを中心にそろえ、ノンアルコールワインも用意。ジュースも産地の明確なものやオーガニックを選び、コーヒーはデカフェも追加料金なしでオーダーできる。
「ただ食事を出すだけではなく、きめ細やかなサービスができるよう心がけています」。さりげない気遣いが、心地よいくつろぎの時間を作り出す。自宅にいるようにリラックスしながら、食事をしたり、おしゃべりをしたり、仕事をしたり…。カフェで過ごす時間を日常のワンシーンに加えてみたい。


